これまで4回にわたり、オリンピック選手になるための条件を書いてきた。

前回まで説明してきた「体力」「体型」「感覚」を参考にしていただき、選手個々が将来最も伸び、オリンピックも可能となるような専門種目を選んでもらいたい。
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   写真:ロサンゼルスオリンピックでは日本選手団の旗手を務めた。

 

競技種目の選定は、個々の将来をも左右する重要なこと

 

競技スポーツの目的は、勝つことそして記録を伸ばすことにある。そうであれば、より伸びが見込まれる競技スポーツを見つけ始めるべきである。特に「体力」「体型」「感覚」の3つを総合的にみて、最も伸びていくと思われる競技スポーツを選ぶ。
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写真2:息子広治910カ月。このころはまだハンマー投げを専門種目として

決めていない。多くの遊びの中の1つとしてハンマーを投げていた。

 

選び決めていく時期は、高校に入る頃であろうか。しかしその時期は、「体力」の中の筋力や持久力はその後のトレーニングにより大きな伸びを見せる。また「体型」もその時期は成長期にあたり、身長や体重が大きく変化する。さらに感覚は目に見えないものである。

このように、個々に合った最も伸びて行くと思われる競技スポーツを探すには難しさがある。このため親や指導者そして先生などと話し合いの中で決めていく必要があると思われる。

 

専門の競技スポーツを開始して10年がオリンピック出場の目安

 

競技種目によっても異なるが、専門となる競技スポーツを開始して、オリンピックに出場するまで10年が目安となろう。女子の水泳選手などは、中学生や高校生もリオのオリンピックに出場していたことを考えると、専門種目を始めてから早い時期にオリンピックに出場する者もいる。投てき種目などは筋力のピークなどを考えると10年前後は掛かる。

 

●種目変更してオリンピックに出場

 

私は長年にわたり大学の投擲選手の指導をしてきた。そこで感じたのは、同じ投擲種目(砲丸投げ、円盤投げ、ハンマー投げ、やり投げ)の中でも種目の変更をした方がよいと思われる者を多く見てきた。しかし同じ投擲種目の中の変更であっても、種目ごとに動きは異なるため動きづくりには2年、3年と掛かる。そのため大学4年間での種目の変更は難しくなる。せめて、高校時代に投擲4種目をやっていれば、どの種目に適しているかは分かるのだが。

また陸上競技選手が、他の競技種目に変更したならば、その基礎体力でオリンピック出場も可能な種目があると私は考える。

桑井亜乃がこれを実現した。中京大学在学中は円盤投げの指導を私がしていた。7人制のラグビーがリオ・オリンピックの正式種目に決まったころである。中京大学で女子ラグビーの授業も始まり、それを受けたことが切っ掛けとなり、大学卒業後、本格的にラグビーに転向した。そして2016年リオ・オリンピックの出場を成し遂げたのである。
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写真3:円盤投げを大学4年間やってきた桑井亜乃選手。卒業後本格的に

ラグビーに転向し見事リオ・オリンピックに出場。

 

●多くの選手がオリンピックや国際レベルの大会にチャレンジすることを望む

 

オリンピック選手になるための条件をシリーズとして、6回のブログにまとめた。子供のころの感覚づくりから始まり、体力、体型に合った最も伸びていく可能性のある競技スポーツを見つけ、そこから練習を積んで、オリンピックにチャレンジしていく。

これらを参考にしていただき、近い将来オリンピック選手が生まれたとしたならば幸いである。