「感覚」は動きの効率性(技術)のレベルアップのため重要である。前回に引き続きこの「感覚」を詳しく述べさせていただく。

 

息子、広治のハンマー投げ技術の基礎は10歳前につくられた

1984年夏、当時文部省の在外研修員としてカリフォルニア州立大学ロングビーチ校に1年間滞在していた時のことである。特に、土日は私のハンマー投げの練習に息子広治と娘の由佳がよくついてきた。
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    写真1:CSUロングビーチでの練習、息子の広治と由佳が後方にいる。

広治は興味があるのか、時々小さな軽いハンマーを投げ遊んでいた。
しかしその動きはフットワークもできていないままの投げである。10歳近くであったことから、正しい動きを教えようと思い聞いたところ「やる」と云うことで指導を始めた。
それもグランドではなく、アパートの共同洗濯場の横にあった広いコンクリートの敷かれた場所で、ハンマーを持たせず指導した。軸足の踵から指の付け根に移動していくフットワークに合わせ、伸ばされた両腕と組んだ両手の先にある仮想ハンマーの動かし方(空ターン)を16時間、それを3日続けた。

その後ハンマーを投げさせてみると、まだ粗削りではあるものの、形は出来ていた。
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   写真2:3日間の指導の後の広治の回転、それまでとは全く異なる良い動きとなった。

         これが本人の感覚の基礎となり、後に創意工夫した技術とトレーニングにより
         オリンピックそして世界選手権の優勝者となる。

 

技術性の高い種目ほど、はじめは動きをよく知った指導者に習うべきである

ゴルフやテニス、その他多くのスポーツもそうであるが、初めに基本的な動作をよく理解している指導者に習うことである。
効率の悪い動きをはじめに覚えてしまうと、それを直すのに多くの期間を費やすことになる。

高校生や大学生であっても、初めてハンマー投げを行う選手の方がまだ先入観が無いだけに指導しやすい。
由佳の円盤投げは高校から、ハンマー投げは大学4年生の秋から始めた。
特にハンマー投げは、この年齢になっても先入観が無いだけに、早く高度な技術を覚えることが出来る。
由佳は、その5年半後のアテネ・オリンピックにハンマー投げに出場した。

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写真3:由佳、21歳からハンマー投げを始めて、5年半でオリンピック出場を決める

1973年、当時私の所属していた大昭和製紙に入社してきた円盤投げの川崎清貴選手に徹底した技術指導を行った。本人も技術改良の強い意欲があり、6年後の1979年に60m22を投げた。この記録は現在も日本記録として残っている。私もそうであったが、強い意志と考え方の柔軟さがなければ初めに覚えた効率の悪い感覚を正すことはできない。 
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写真3:川崎清貴選手と、国内の遠征先にて

12歳くらいまでに、できるだけ多くの感覚を得ることである

各種スポーツ種目の基本的動作も、12歳位までが早く身につく。
このためにも初めの基本的動作はよく知った指導者に習うことである。

また他の多くの感覚づくりのエクササイズも、早く行うことが望ましい。
それでは、いつからかというと、私は歩けるようになったら始めてもよいと思う。
勿論、無理させず出来そうなものから始める。

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写真4:木にコウモリのようにぶら下がっているのが広治と由佳。

親はハラハラしているが、子供たちは今まで培った多くの感覚から

できそうだと判断しているからやるのである。


それではどのようなものを行うかというと「平衡感覚」「リズム感覚」「空間での感覚」「前後左右への回転感覚」「各種投げの感覚」「模倣する感覚」などを個々の能力に合わせたエクササイズを考え行う。
また78歳からはこれらと並行し、各種競技も少しの期間でよいので多く行っていく。

このように10年以上かけ、楽しみながら感覚づくりをしていく。

感覚は目に見えないものであるが、将来専門種目の技術に関わってくる重要なものである。

次回は、オリンピック選手になるための条件のまとめを行う。