前回までは「体力」「体型」と個々の持つ素質の説明をしてきた。
今回は三つ目の「感覚」を考えていきたい。

 

「感覚」は「体力」「体型」より重視して考えなければならない

一般的に運動感覚がよいとされるのは、ある運動を行った時スムーズにバランスよく身のこなしが出来ることを言う。これは、多くの運動を経験して個々の動ける範囲を広げた状態にしておかなければならない。

多くの運動経験がなければ動く範囲は狭められ、仮に恵まれた体力や体型があっても生かされない。逆に、優れた運動感覚を持った者は、体力、体型に少し劣っていても世界で通用する選手になる可能性がある。
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  写真1:息子、広治の高校3年生時。187㎝で75kg弱の細い身体で

一般用7.26kgのハンマーを6630投げる。

 

そしてこの豊富な運動感覚の獲得は、すべてのスポーツに関係してくる。

 

運動感覚はいつ、どのようにして身につけるのか

 

アメリカの医学者・人類学者のスキャモン(18831952)の発達・発育曲線は大変興味深い。神経系にこの運動感覚もあるわけだが、その発達は12歳くらいでピークに達するとされる。

私も、選手としてまた指導者としての経験から、12歳くらいまでに豊富な運動感覚を身につけておくべきであると考える。

1980年、私は中京大学に赴任した。ゼミですぐに始めたのが「幼児の運動感覚の養成」である。近くの小学校の体育館を借り、マット運動やメデシンボールによる各種の投げなどを中心に、保育園児や幼稚園児などを対象とし毎週一度感覚の訓練を行った。その中には息子(広治)や娘(由佳)もいた。

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写真2:娘、由佳の保育園時代、運動に興味を持ち活発となる。

 

これらは決してトレーニングではなく、感覚の訓練であって、ある程度できるようになれば、他の種類の運動をしていく。それは、できるだけ多くの種類の運動を経験させることに目的があったからだ。

 

運動感覚とはどのようなものか

自転車に乗れるようになれば、1つの感覚が出来る。また同じ自転車であっても曲芸的な乗り方が出来るようになれば、さらに異なる感覚は増えることになる。そしてこれら感覚は長く残る。

もちろん、自転車だけでなく、多くの遊びや多くの運動を経験することにより多くの感覚は身につくことになる。 
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写真3:私が左、海・山・川で遊びまわっていた。

 

私が高校に入り、ハンマーを初めて投げた時である。小学校低学年のころ、遊びで友達の手首を持ち、自ら回転して相手の体を振ったことがある。その時の感覚を基にハンマーを投げた。

 

また同じく高校に入って始めた円盤投げである。子供のころよく川や海の水面に向けて、平らな小石の側面を擦り投げ、水を切る遊びをした。円盤を振り出す時、その感覚をもって投げると、円盤にはスピンが掛かり、円盤の飛行を安定させ飛ばすことが出来た。当時1.5kgの円盤(現在の日本の高校用円盤は1.75㎏)であったが、約一か月後には立投げで40mを超えた。

感覚とは上記のように新たな運動を行う時、以前獲得した感覚を組み込んで応用していくことが多くある。

 

次回はまた「感覚」についての重要な内容について、続きを書きたいと思う。