S__1212427
前回は「ニュートンの法則」を基に考えた「力の伝導」の説明をさせていただいた。今回はもう一つの「力を発揮する順序」についての考えを述べる。

 

「力を発揮する順序」

強い筋群の集まる体幹部(骨盤まわりや胴体)、そして大腿を先に働かせて、その力を手(腕や肩も含む)や足(下腿も含む)に伝える。

手や足は速く働くが、体幹部より筋肉量が少ないため大きな力は出せない。このため大筋群の集まる体幹部から先に働かせ、末端の手や足に伝えることで大きな力が発揮できる。

仮に手や足を先に働かせてしまうと、体幹部がよく使われないまま動作が終わってしまうので大きな力は出せないことになる。

競技会や練習において投てき(砲丸投げ、円盤投げ、ハンマー投げ、やり投げ)選手の手投げをよく見かける。その手は肩や腕も含まれるのだが、手(肩・腕)が先に働いてしまうことにより、体幹部の働きが十分できず、結果、大きな力が出せないまま投げてしまうことになる。

 

歩く、走る、跳ぶといった動作も同じで、体幹部から先に働かさなければ大きな力は発揮できない。一般の方だけではなく競技者も含め、体幹部を使わず足だけで歩き走っていている人は意外と多い。

 

特に、日常生活の中では、手足ですべて事足りると考えてもよい。そのため、体幹部から先に働かすことがほとんど無く、体幹部から先に働かす訓練を普段から行っておく必要がある。

 

ここで、胴や臀部そして大腿の体幹部を先に働かすと言ってきたが、私はこれら体幹部を丹田により操作することをすすめる。このため体幹部は丹田に操作されやすいような姿勢にしておかなければならない。これは歩、走、跳、投だけにはとどまらず全てのスポーツに当てはまる。しかしこれには訓練が必要であるが、覚えてしまえば体幹部を自在に働かすことができるようになる。

 

「力の伝導」と「力を発揮する順序」をまとめ、実例を挙げ説明する。

私が25歳の頃、ハンマー投げ技術のレベルアップを目的に(移動、ひねりの戻し、重心の位置、倒れ込み、ブロック)などの組み合わせと、(体幹部から先に力を発揮する)を考え実験を始めた。そしてこれら実験を通して何をすべきかの課題が見え、練習は面白くなった。結果、長い年月かかったが満足いく記録を残せた。

 

さらにハンマー投げについて話を続けると、ニュートンの第2法則(運動の法則)が最も重要となる。これに関して詳しく説明すると、飛距離は投射時の(投射スピード)(投射角)(投射高)によって決まる。この条件から考えると最適投射角で投げ出されても、また人の身長を考慮に入れた投射高も飛距離に大きな影響を及ぼすことはない。飛距離の決め手は投射スピードである。このため、投げ出す瞬間のハンマー頭部のスピードを最大限上げることを目的とし、各回転時にハンマー頭部の加速を行っていく。

 

当然、加速(ニュートンの第2法則・運動)はハンマー頭部への力の作用が必要で、その力は大きければ高度な加速につながる。この大きな力を求めていくためスウィングから各回転そして振り切りまで最もハンマー頭部に力の伝わりやすい姿勢をつくり、体幹部から力を発揮することを考えるのである。さらにその大きな力を長い時間ハンマー頭部に作用させる力積、もしくは長い距離ハンマー頭部に作用させる仕事を考え行う。

 

上記はニュートンの法則を基にハンマー投げを考え実践してきたものである。

歩、走、跳、投また多種の動作もニュートンの法則を基に考えていくことにより、向上のための何らかのヒントを得ると思われるので是非チャレンジしてほしい。

 

次回は、もう一つの法則である「生物の一般的特徴」について説明していく。