IMG_0823
‘労多くして功少なし’のように、一生懸命やっているのに成果が出ない。実際このような選手は多い。 

解決の方法は、法則を基に考えていくことであろう。そうであれば強化の方向を見失わないで済む。

前回は「ニュートンの法則」について説明させていただいた。歩く、走る、跳ぶ、投げるなどの動作は地面の反力によるもので、その力の方向と効率性を求めていくには、二つのことをベースに考えると分かりやすい。

それは「力の伝導」と「力を発揮する順序」の二つである。

 

「力の伝導」

ある目的のための動作に対し、地面からの反力を効果的に全身に伝える。

これは、多種の動作において反力の最も伝わりやすい姿勢を求めていくことにある。それは、力の伝導の良い姿勢においては大きな力を獲得でき、悪い姿勢では小さな力しか出せないからである。このため、より大きな力を得るような姿勢を全ての局面で考えていかなければならない。

 

力の伝導をハンマー投げにおいて説明するならば、地面反力をハンマー頭部によく伝えられる姿勢を、スウィングから回転そして振り切りまで作っていくことにある。そして大きな力を得る姿勢が出来たならば、それを長い時間(力積)または長い距離(仕事量)発揮できるようにする。

 

また歩く、走る、跳ぶ、投げる、さらに他の動作を力の伝導の下で考えてみると、幾つかの実験すべきものが出てくる。

例えば歩いたり走ったりする中で、身体重心の位置を変えてみるのである。感覚的なものでよいから数センチ重心の位置を下げ歩き、走ってみたならばどのような変化が起こるのであろうか?

 

次には10㎝程度下げ、さらに20㎝程度下げてみる。腰が後ろに落ちているようであれば、一歩一歩の動きの中で重心を身体の前面に持っていくように調整する。そしてどの重心の位置が最も地面からの反力を得る姿勢なのかを探すのである。

 

これら歩き、走りは力の作用した時間(力積)に関係するものであって、跳ぶ、投げる動作に於いても大変重要となる。

 

さらに歩く、走るに関しては肩甲骨を動かし両肩を後ろに置き胸を張るようにすると身体重心は身体の前面にきて反力は大きくなり、さらに伝わりやすい姿勢ともなる。

それは身体重心が身体の前面にある方が後方にあるより、一歩前に踏み出した膝の上に上半身が乗りやすく、結果反力が大きくなるからである。

 

このように法則に基づき一つ一つの動きを徹底して考え実践に移すのである。

次回は「力を発揮する順序」について説明していく。